本記事はAI/社内向けの依頼文=プロンプト設計に特化します。対象・長さ・構成・トーンを数値と言葉で指定し、曖昧語を排除して再現性を高めます。要約→短い引用→UI固定まで一気通貫で解説します。
本記事での「聞き方」は、対人の傾聴ではなく依頼文(プロンプト)設計を指します。
- 最小指定4点:対象・長さ・構成・トーン(本記事全節でこの定義に統一します)。
- 推奨の追加指定:期日・観点(評価軸)・禁止語など。※期日は最小指定ではなく推奨の追加指定です。
AI/ChatGPT向けの依頼文テンプレとプロンプトの聞き方を解説します。曖昧表現を対象・長さ・構成に分解し、敬体固定で出力の再現性を高めます。プロンプトエンジニアリングのベストプラクティスやスタイルガイド、レビューチェックリストも併載します。
まず結論:最小指定4点で再現性を上げます
最短で再現性を上げるコツは、対象・長さ・構成・トーン(最小指定4点)を数値/語で指定することです。さらに次の枠組みを合わせます。
- 曖昧語→具体化(例:「ちゃんと 説明 例」→「対象=PM、長さ=150字、構成=結論→理由→次の一歩」)
- 敬体固定(語尾=です・ます固定、絵文字なし、語尾揺れ禁止)
- 参照例は要約(背景→目的→施策→指標→期日を200字で。固有名は[企業A]/[担当X]に置換)
- UIで再現(フォームで選択肢・数値・ラジオを固定。コピペ導線を用意)
推奨の追加指定: 期日、評価観点(ルーブリック)、禁止語、KPI、参考リンク。
— 橋渡し:ここからQuick Winへ“すぐ試す”に繋げます。
- 最小指定4点(対象・長さ・構成・トーン)を書き出しましたか。
- 期日や観点は「推奨の追加指定」として分離しましたか。
- 曖昧語はNG→OKに置換しましたか。
Quick Winテンプレ集(コピペ用)
狙いはコピペ1発の再現です。用途に合わせて貼り替え、最小指定4点だけ編集してください。必要に応じて期日(推奨の追加指定)を足します。
要点提示テンプレ(結論→理由→次の一歩)
対象={読者(例:営業Mgr)}/長さ={150字}/構成=結論→理由→次の一歩/トーン=敬体(です・ます)/禁止語={ちゃんと/なるべく 等}
追加指定(任意):期日={MM/DD}/観点={例:事実/論理/表記}
依頼:{テーマ(例:インバウンド施策の優先順位)}について、結論を先頭に1段落で要点提示してください。専門用語は中学レベルに言い換え、固有名は[企業A]/[担当X]に置換します。
対象=営業Mgr/長さ=150字/構成=結論→理由→次の一歩/トーン=敬体/禁止語=ちゃんと/なるべく
追加指定:期日=08/25/観点=事実/論理/表記
出力例:「最優先は既存見込み客の再接触です。理由はCVRが新規比で1.8倍、コストが半分だからです。次の一歩は[担当X]が停止中のステップメールを3通再送し、[企業A]のFAQリンクを追記します。」
仕様説明テンプレ(入力→処理→出力)
参照例がある時の定番です(参照文 要約 手順にも対応します)。
前提=この依頼は{目的(例:社内共有資料の素案)}です。入力→処理→出力の順で説明してください。
判断基準(箇条書き):
- 対象={読者(例:非エンジニア)}
- 長さ={見出し:20字以内/本文:300字}
- トーン=敬体(です・ます)、絵文字なし
- 参照例=要約200字→引用は短文のみ
追加指定(任意):期日={MM/DD}
出力フォーマット:
1) 入力(何を渡すか)
2) 処理(どう考えるか)
3) 出力(何を返すか)
前提=社内共有資料の素案。対象=非エンジニア。見出し=20字以内/本文=300字。トーン=敬体。参照例=要約200字。期日=09/10。
出力例:「入力:A/Bテスト結果のCSVとLPスクショ一式。処理:CTR/CVRの差分を集計し、要因を仮説化。出力:改善案3点(見出し差し替え、FAQ増、導線短縮)を箇条書きで返します。」
— 橋渡し:テンプレは出発点です。次に曖昧語の棚卸しで精度を上げます。
- テンプレ内の最小指定4点だけで依頼が成立していますか。
- 期日などの追加指定は任意欄に分離しましたか。
- 完成見本を自部署向けに1行修正しましたか。
一般向けへの汎用化(即差し替えセット)
初めての方へ:始め方を先に確認すると導入がスムーズです。
現行の完成見本はB2B/マーケ寄りです。最小指定4点はそのままに、語彙とKPIを公共・教育・地域などの文脈へ置換すると、汎用対応が可能です。
方向性(結論)
- 主語・KPI・固有名を「生活・公共・教育・地域」語彙に置換します。
- 評価観点は「事実/論理/表記」→ 正確性/公平性/わかりやすさへ差し替えます。
置換テーブル(ビジネス→汎用)
- CVR/CTR → 参加率/返信率/閲覧率
- LP → 案内ページ/お知らせ
- 見込み客 → 参加希望者/利用者
- 施策 → やり方/取り組み
- [企業A]/[担当X] → [学校A]/[保護者代表]/[自治会A]/[ボランティアX]
- FAQ → よくある質問/Q&A
- KGI/KPI → 目標/目安
ドメイン別ミニ見本(150字・敬体)
学校・保護者向け:結論:明日の持ち物は水筒と上ばきです。理由:熱中症対策と体育の実施のためです。次の一歩:連絡帳にチェックを入れてください。対象は保護者、文体はです・ますで統一します。
地域イベント(NPO):結論:受付を9時に前倒しします。理由:昨年は開始直後に混雑したためです。次の一歩:ボランティア[ボランティアX]は8:30集合でお願いします。案内ページを今日中に更新します。
図書館のお知らせ(公共):結論:貸出延長はオンラインで1回まで可能です。理由:在庫確保のためです。次の一歩:利用者番号でログインし、「貸出状況」から延長してください。困った場合は窓口にご相談ください。
部活動・サークル:結論:次回の練習は体育館Bで行います。理由:Aコートが点検中だからです。次の一歩:各自、準備運動の時間を10分確保してください。持ち物は飲み物とタオルです。
医療・福祉の連絡:結論:健診の予約は電話かWebで受け付けます。理由:混雑を避け、安全にご案内するためです。次の一歩:希望日を2つご用意ください。個人情報は[伏字]にして共有をお願いします。
研究・共同執筆:結論:要約は200字・敬体で統一します。理由:査読者が比較しやすくなるためです。次の一歩:背景→目的→方法→結果の順で作成し、締切は09/10(任意)です。
判断基準の非ビジネス版(テンプレ差し替え用)
- 対象:一般利用者/保護者/地域の方
- 長さ:見出し20字/本文150字
- トーン:敬体・絵文字なし・専門用語は日常語に言い換え
- 観点:正確性/公平性/わかりやすさ(任意:安全)
— 橋渡し:既存の「完成見本」を上記から2例ずつ差し替えると、読者層が広がります。
そのまま貼れる差し替え用ブロック(WordPress HTML)
コピー用:
<h3>一般向け・公共/教育サンプル(完成見本)</h3>
<div class="example-box" role="note" aria-label="一般向け完成見本">
<p><strong>学校・保護者:</strong>結論:明日の持ち物は水筒と上ばきです。理由:熱中症対策と体育の実施のためです。次の一歩:連絡帳にチェックを入れてください。</p>
<p><strong>地域イベント:</strong>結論:受付を9時に前倒しします。理由:昨年は開始直後に混雑したためです。次の一歩:ボランティア[ボランティアX]は8:30集合でお願いします。</p>
</div>
- 最小指定4点は維持したまま、語彙とKPIのみ置換しましたか。
- 評価観点を「正確性/公平性/わかりやすさ」に差し替えましたか。
- 固有名は[学校A]/[自治会A]/[ボランティアX]等に置換しましたか。
曖昧語の見つけ方
精度を落とすのは曖昧語です。まずNG→OK置換で潰し込み、次に検出チェックリストで漏れを防ぎます。編集/PMのレビュー、品質管理のワークフロー整備にも役立ちます。「具体化の型」の基本はプロンプト基礎をご覧ください。
NG→OK表(基本)
NG:ちゃんと説明して
OK:対象={誰向け}/長さ={○字}/構成=結論→理由→次の一歩/トーン=敬体/締切={MM/DD(任意)}
NG:きちんとレビュー
OK:観点={3項目:事実/論理/表記}/形式=箇条書き/長さ=150字/期日={MM/DD(任意)}
NG:適宜言い換え
OK:禁止語={リスト}/代替={語彙表}/例文={1つ}/判断基準={短い定義}
検出チェックリスト
- 禁止語:ちゃんと/しっかり/なるべく/早めに/わかりやすく/十分に/適宜/いい感じに
- 代替:対象・長さ・構成・観点(例:「わかりやすく」→ 対象=中学生/比喩=1回/例=1つ)
- 辞書化:チームのナレッジベースへ定期追加(週1行更新)。
- 禁止語を3つ以上、具体指示へ置換しましたか。
- 置換結果をNG→OK辞書に追記しましたか。
- 辞書をスニペット化して再利用可能にしましたか。
トーン設計(敬体固定)
敬体固定は再現性の土台です。語尾が揺れると、出力の文体・温度がぶれます。スタイルガイドとして1行ルールを明示し、ベストプラクティス化します。
敬体固定ルール(1行ルール)
- 語尾=です・ます固定/絵文字なし/口語の「〜ですね?」連打禁止
- 見出しは体言止め可、本文は敬体で統一します。
- 冗長さ対策:助詞を削って短文化します(例:「〜と考えます。」の1文完結)。
比較Before/After(短文)
Before(常体+揺れ):「要件は未定。とりあえず案を出す。丁寧めで。」
改善の一手:対象=役員向け/長さ=300字/構成=結論→理由→懸念→次の一歩/トーン=敬体
After(敬体固定):「本件の要件は暫定です。まず結論を示し、理由と懸念を簡潔に述べます。最後に次の一歩を明記します。」
- 敬体(です・ます)に統一しましたか。
- 口語質問の連打や絵文字を除去しましたか。
- 章内の用語と定義の使い分けが一貫していますか。
参照例の渡し方(要約が基本)
長文の生貼りは避けます。AIは参照文の一部に過度に引かれるため、要約→短い引用の順が安全です。固有名は[企業A]/[担当X]に置換し、200字テンプレで渡します。
要約200字テンプレ
【背景】[企業A]は{市場}/課題{一言}。【目的】{何を達成したいか}。
【施策】{3点:例/メール最適化・LP改善・FAQ拡充}。
【指標】{1〜2個:CVR/滞在時間}。【期日】{MM/DD(任意)}。
→ この要約に沿って、対象={読者}、長さ={○字}、構成=結論→理由→次の一歩、トーン=敬体で提案文を作成。
背景=CVR低下/目的=改善/施策=見出し再設計・FAQ増・導線短縮/指標=CVR/滞在時間/期日=09/10(任意)。
出力例:「結論:ファーストビューの訴求を『無料相談』に寄せます。理由:既存流入では相談CVRが2倍です。次の一歩:見出し差し替えとFAQ3件追記を[担当X]が実施します。」
禁止:比喩過多/業界俗語の多用/500字超の参照文の生貼り。
置換:固有名は[企業A]/[担当X]、金額は[金額]、機密は[伏字]。
— 橋渡し:実装で迷いやすいのは入力UIです。次で仕立てを統一します。
- 参照文は200字に要約しましたか。
- 引用は10〜30字に絞りましたか。
- 固有名・金額・機密は置換しましたか。
UX/UI設計(入力フォーム)
フォームで選択肢・数値・ラジオを使うと、依頼の可変性を限定できます。スマホ前提で角丸4px・余白16px・コピー導線を付けます。ナレッジのドキュメント化と運用にも相性が良いです。
入力フィールド
- 対象(セレクト):経営層/Mgr/現場/一般
- 長さ(数値):見出し=20字、本文=150/300/600字
- 構成(プルダウン):結論→理由→次の一歩/入力→処理→出力/問題→打ち手→効果
- トーン(ラジオ):敬体固定/常体禁止
- 禁止語(タグ入力):ちゃんと/しっかり/なるべく/早めに など
- 参照例(テキスト):200字要約のみ貼付
- 個人情報チェック(ON/OFF):固有名・メール・住所が含まれる場合は送信不可
簡易検出ルール例:/\S+@\S+\.\S+/
(メール)//(0\d{1,3}-\d{2,4}-\d{4})/
(電話)/「丁目/番地/号」を含む住所キーワード。
UIパターン
Before|改善の一手|After(薄グレー背景・角丸4px・余白16px・右上に[コピー])
- Before:自由記述1枠のみ。
- 改善の一手:最小指定4点+禁止語を別フィールド化。
- After:生成された「依頼プレビュー」を1画面表示+[コピー]ボタン。
テンプレ配布の次の行動は、用途別のショート手順を集約したQuick Winハブへ。
- 最小指定4点をUIで必須化しましたか。
- コピー導線と成功トーストを実装しましたか。
- 個人情報の簡易検出ルールを入れましたか。
安全性と権利配慮
安全性ガイドも併せてご確認ください。現時点ではの前置きを付け、規約や法令が将来変更される可能性を明記します。
- 個人情報:氏名・メール・住所は[伏字]。必要であれば想定条件に置換します。
- 著作権:外部コンテンツの長文生貼りは禁止です。要約→短い引用→出典明記の順で扱います。
- 機密:未発表の数値や取引先は匿名化します。公開前は要約+条件で抽象化します。
- 規約依存の断定回避:製品仕様や法令は変動します。「現時点では」を明記します。
- 「現時点では」を明示しましたか。
- 外部コンテンツは要約→短い引用→出典の順にしましたか。
- 機密/個人情報の匿名化・置換を行いましたか。
ケーススタディ
ケース#1「“ちゃんと”の罠を外す」
Before(NG:曖昧語):「ちゃんと説明して。早めにドラフトを。」
改善の一手:対象=Mgr/長さ=150字/構成=結論→理由→次の一歩/トーン=敬体/期日=08/25(任意)
After(OK:具体化):「結論を先頭に150字で提示します。理由と次の一歩を一行ずつ添えます。対象はMgr、語尾はです・ます、期日は8/25です。」
会話引用
U:「なるべく丁寧にまとめて」
A:「敬体固定・語尾“です/ます”、120字、結論→理由→注意点の順で出します」
ケース#2「トーンずれ:敬体固定でブレを止めます」
Before(常体+語尾揺れ):「資料、先に骨子共有して。どう思う?」
改善の一手:語尾=です・ます固定/絵文字なし/敬体固定ルールを明示
After(敬体+安定トーン):「資料の骨子を先に共有します。ご確認後、修正観点を3点でご指示ください。」
ミニTIP(1行ルール):語尾=です・ます固定/絵文字なし。これだけで温度が安定します。
ケース#3「長すぎる参照例→要約で効きます」
- 参照(500字):社内議事録(略)。
- 要約(200字):背景=既存LPのCVR低下。目的=改善。施策=見出し再設計/FAQ増/導線短縮。指標=CVR/滞在。期日=09/10(任意)。
- 禁止3点:生貼り/固有名そのまま/比喩過多
- ケースごとに最小指定4点を明記しましたか。
- 期日(任意)は必要時のみ付与しましたか。
- Afterは敬体で統一しましたか。
コラム:日本語の“やさしさ”と正確さの両立
日本語は婉曲表現に強みがあります。ただし、AIには曖昧の余白が誤差になります。最小解はやさしさ=対象語の選び方、正確さ=数値と順序です。例えば「ご対応いただけますと幸いです」も、対象・期日(任意)・成果物を添えるだけで温度を保ちつつ精度が上がります。結論は控えめに示し、やさしさは語彙で、正確さは構造で担保します。
- やさしさ(語彙)と正確さ(構造)を分離して設計しましたか。
- 依頼のゴールとKPIを1文で明記しましたか。
- 冗長な表現を短文化しましたか。
運用ノート:自分用NG→OK辞書の作り方 & 次の一歩
- 収集:1週間、依頼文から曖昧語を抜き出します(ちゃんと/なるべく/早めに など)。
- 置換:各語を対象・長さ・構成・観点に変換し、辞書化します。
- 適用:テンプレに自動置換します(スニペット推奨)。
- 検証:週次3分でNG→OK表を1行更新します(Quick Win)。
— 橋渡し:小さく始めて、次の一歩へ進みます。
次の一歩: 始め方 → プロンプト基礎 → Quick Winハブ
FAQ
- 「聞き方」は傾聴ですか?
いいえ。本記事は依頼文(プロンプト)設計に特化します。 - 敬体固定はなぜ必要ですか?
語尾の揺れが出力の文体と温度を乱すためです。です・ます固定を推奨します。 - 参照文は全文貼り付けてもよいですか?
いいえ。要約200字→短い引用の順で渡します。 - 固有名や数値の扱いは?
固有名は[企業A]/[担当X]、金額は[金額]、機密は[伏字]に置換します。 - 「わかりやすく」の具体化は?
対象=中学生/比喩=1回/例=1つに分解して指示します。 - 期日は必須ですか?
いいえ。期日は推奨の追加指定です。必要なときのみ明記します。 - 社外向けと社内向けで変える点は?
トーンの丁寧さ、機密情報の抽象化、出典の厳密性を強化します。 - テンプレは他部門でも再利用できますか?
最小指定4点を差し替えるだけで再利用できます。用語集/スタイルガイドと併用すると効果が安定します。
付録:ロングテール対応の即貼りスニペット
依頼の前提=社内共有。最小指定4点:対象={読者}/長さ={○字}/構成={選択}/トーン=敬体。
追加指定(任意):期日={MM/DD}/観点={定義}/禁止語={…}。
参照文は要約200字→引用は10〜30字まで。固有名は[企業A]/[担当X]に置換。
更新履歴・検証環境・著者/監修
- 最終更新:2025-08-18
- 主な変更:定義統一(最小指定4点/期日の位置づけ)/主CTA追加(追従)/完成見本追加/章末チェックリスト/ミニ目次削除/ARIA対応/FAQ拡充/共起語の自然化/個人情報検出ルール追記/一般向け汎用化セクション追加/クレジット表記統一/内部リンク(確定版)反映
- 検証環境:ブラウザ版ChatGPT(2025年8月)
- 検証条件:モデル=GPT-5 Thinking/温度=0.2/top_p=1.0/最大出力は用途に応じ可変
【監修:のあログ/協力:ChatGPT(GPT-5 Thinking)】
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